ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
怒りで理性が抑圧される。
いつもなら穏便に済ませようとするところなのに、我慢が出来なかった。
なんで、なんで、あたしばっかり?
どうせ咲々乃はこんな目には合わなくて、だってあたしのことなんか好きじゃないわけで。
なのにあたしは咲々乃が好きだって周りには見えていて、だからこんな質問ばっかりされて。
違うのに、違う、違う、違う。
好きだけど好きじゃない、あたしと咲々乃の間にあるのはそんなものじゃないのに。
どうして皆はわからないの、男女間の友情って言葉を疑うの。
良いじゃない、成立したって。
なにがいけないのよ。
理不尽。
ぐるぐると吐き気によく似たものが胸の中を巡って、小さな音と共にパチンと割れた。
「…はぁー?あんた、なに言っちゃってんの?」
「……あなたには言われたくない、可愛くないなんて」
「ちょーうざいんだけど……あたしがブスだって言いたいわけ?」
ざらざらしたセリフと共に、目を吊り上げた化物みたいな顔であたしをギロリと睨みつけてきた。