ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
「っ、あ、あの、咲々乃く、」
「……先輩、用があるなら俺を呼んでください。こいつは関係ないんで」
ずきり。
関係ない、その言葉に胸が抉られて痛んだ。
阿呆らしい。
今まであたしは咲々乃を避けていて、関係がなくなることを望んでいたはずなのに。
…苦しいなんて思うのは、都合が良すぎる。
「ち、ちがうの、この子があたしにブスってひどいこと…!」
見苦しいな。
音もなく静かに呟くと、
「俺も思いますよ、あんたがブスだって。……行くぞ、」
咲々乃は強くあたしの手を引いて、何事もなかったような顔で教室に向かった。
周りの視線なんか気にならないくらい、あたしは咲々乃の広い背中に見とれていた。
いつからこんなに、距離が空いたんだろう。
そんなことばかり考えながら。