ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
教室は喧騒とはかけ離れた、孤立した空間だった。
もう部活が始まっている時間だから、あまり人は残っていなくて。
それが余計に、あたしの体温を上げる引き金になる。
「えっ?あ、ああ、ほんとにね、びっくりしたけど、」
可愛くない返事しかできない自分に苛立つ。
なんであたしは可愛くなれないんだろう。
咲々乃といつも喧嘩ばっかりして、平坂にもそれを何度も見られて。
女の子って意識されてるかも危うい。
だって平坂が他の女の子と親しくしてるところなんてあんまり見ないし。
…もし咲々乃が白波さんと付き合って、平坂と一緒にいることがめっきり減ったら。
あたしも平坂とは“ただのクラスメイト”って関係に戻るのかな。
……嫌だな、それは、嫌だな。
「夏村さんも誰かにチョコ渡したの?」