ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
俺の気持ちを表情から汲み取ったのか、少し申し訳なさそうに平坂は付け加えた。
「まぁまぁ、頑張ってね♪おれはバレンタインとか無関係だから、咲々乃の報告だけ楽しみにしてるよー」
平坂は明るい茶髪を揺らして爽やかな笑みを浮かべた。
それに釣られて、すっかり力の抜けた俺も小さく笑い返す。
平坂とは高1の頃からずっと仲が良い。
好きな音楽や小説、スポーツなどの他愛ない話なら毎日のようにしている。
ただこいつは浮いた話を全くしないから、俺もなんとなく気恥ずかしくてその類いの話は一切してこなかった。
……結局、バレバレだったみてーだけど…。
「つーかお前…無関係ってなぁ、」
「えー?そうでしょ?」
…こいつ、本気で言ってんのか。
ゆらりと沸いた殺意をそのまま向けると、平坂はこてんと首を傾げた。
くそ、男のくせにこういう仕草が妙に似合うな…!