ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
それを見て笑った平坂が、王子様よろしくな姿勢で靴を拾い上げてくれた。
シンデレラのワンシーンが思い浮かんだのはあたしだけじゃないはず。
「ふふ、どうぞー」
「あ、あああありがとっ…!!!」
咲々乃が複雑そうな顔をして、それを見て平坂は意味深な笑みを浮かべていた。
…な…なんだろ…?
て、ていうか、めちゃくちゃ気まずいんだけど…!!
やっぱり振られた以上、もう友達としてやってけないのかな…!?
どうなの!?
世間一般の方々はどんな態度で接してるの!?
「おれ、振ってないよね?」
「ぎゃあっ!!」
なななななななっ…!!
びっくりして振り返ると、そこに咲々乃の姿はなく、平坂が笑いを堪えているだけだった。