レモン色の恋【ショートストーリー】
家に帰っても、私の様子はおかしいままだった。
とろんとしたまま、食欲もなく、何も話せなかった。
誰とも話したくなかった。
ひとりで思い出していたかったんだ。
今日の素敵な出来事を…
一生忘れないように、しっかりと整理したかった。
いきなり部屋へ直行した私を心配したお母さんがノックをした。
「あゆ、どうしたの?」
「ひとりになりたいの・・・」
お母さんは、黙ってその場を離れた。
私は、ひどいことを言ってしまったんじゃないかと後悔した。
すると、しばらくしてもう一度お母さんがノックをした。
「あゆ、ちょっとお茶飲まない?」
私はお母さんの作ってくれたピンクのドアノブカバーに手をかけた。