レモン色の恋【ショートストーリー】
恋のはなし
「お母さん・・・」
私はお母さんの心臓の音を聞きながら、気持ちを落ち着かせた。
「あゆ、大きくなったね」
お母さんは、私のおでこに手を当てて、前髪を上にあげた。
「あゆ、好きな人・・・できた?」
さすがお母さんだ。
何も言っていないのに、ばれちゃった。
それは、お母さんも
こんなことがあったから?
ひとりになりたい夜があったから?
「今までと違うの・・・ここがね、苦しいの。」
私は、自分の胸をぎゅっと押えて、お母さんを見た。
お母さんの目は少しうるんでいた。
「あゆも、恋をしたんだね・・・」
そう言いながら私のおでこを撫でた。
「お母さん、どうしたらいいの?考えたら、苦しいんだよ。でも、ずっと考えてしまう。」
「お母さんもあったなぁ、そんな頃。ちょうど、今のあゆと同じくらいだった。初めて人を好きになると、わからないことだらけですごく不安だった。でも、毎日がキラキラするんだよ。」