レモン色の恋【ショートストーリー】
受付にいた女のコーチがホワイトボードに年末年始の予定を書いていた。
頭の中が真っ白になった。
私は子供じゃない。
ちゃんとわかる。
その字…
かわいい丸字。
つばさ君の名札の字…
ずっとつばさ君の字だと信じていたその字は
つばさ君の字じゃなかったんだ。
ホワイトボードの文字を見つめたまま、動けなかった。
「1月1日~6日までおやすみです」…
『つ』も『ば』も『さ』も、書いてないけど、わかる。
その字は間違いなくつばさ君の名札の字で、
あのクリスマスパーティーの壁に貼られていた紙の文字。
その女の人は、優しくて、いつも笑っていて、好きなコーチだった。
習ったことはないのに、すぐに名前を覚えてくれたコーチだった。