レモン色の恋【ショートストーリー】
背中
きっと、私の名前も知らない遠いつばさ君。
教えてもいない子の名前覚えてるはずもなく、何気なく受け取る受付のカードも見てはいない。
あいさつだって、私にしてくれているのかどうかもわからない。
受付にはたくさんの子が集まってるから…
準備体操の担当は、毎回違う先生だった。
今日、初めて…
つばさ君が担当だった。
温かい部屋で、みんなで柔軟体操をしている時…
みんなが下を向いてる瞬間に、顔を上げた。
つばさ君と目が合った。
…ニコッ
優しい顔で笑ってくれたんだ。
その笑顔は
まぎれもなく私一人に向けられた笑顔。