亡き王女の為のパヴァーヌ
タイトル未編集
真っ赤な返り血を浴びながら、
少年と少女は走った。
まだ幼い少女達は、
人生の全ての体力を使い果たすかのように
懸命に地面を蹴った。
後ろから追ってくる異国の兵士。
[━━ドテッッ━━]
少女が転けてしまった。
少年はパッと後ろを向き、少女の名を呼んだ。
『私はいいから...早く行ってよッ』
少年は黙って俯き、歯をくいしばり、
隠しもっていたナイフを握りしめ
兵士の前に立ちはだかった。
『逃げろッッ早く!お前は俺が守るッ』
そう言って兵士に飛び込んで行ったが、
小さな少年は呆気なく撃たれた。
少女は少年に駆け寄る。
『大丈夫!?ごめっごめんなさいっ』
少女の目から涙が溢れだした。
『だい..じょ..うぶだから..』
少年は少女を見つめた。
『お前は...生きろッッ』
小さな体に大きな心を持った少年は、
ニコッと笑った。
『ごめんっごめんねッッ』
少女は全力で走った。
しかし、大人にはかなわなかった。
すぐに捕まってしまった。
兵士が、「女は役に立つから牢屋に。」
と言った時、
少女の腕が引っ張られ、縄で縛られ
囚人が入れられている馬車に放り込まれた。
そして、少女は暗闇の世界に閉じ込められた。