名前も知らない向こうのキミへ

・・・・・・・・いない。

やっぱり帰っちゃったかな…


「元気出た?」

見覚えのある声が背中から聞こえてくる。

「…へ?」

振り向いたらやっぱりアイツだった。
さっきの出来事が嘘かのように笑顔で立ってる。

「怒って…ないの??」

「ん??風邪ひく前に帰れよ。」

また私のいう事を無視した。
でも、優しい無視だった…

「でも、言いたい事が…!」

「じゃ、また明日。」

私の事なんて聞きもしないでスタスタと歩いていく。


「謝れなかったね」

遊子がそう言うと少し笑った。

「明日、ちゃんと謝る!!」

「かおる、今の表情輝いてる」

「え??」

「なんてね~~」


なんか嬉しかった。
本気で頑張れるような気がしたし。


アイツの事もちょっとは・・・・
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