名前も知らない向こうのキミへ
「お前さぁ、趣味とか好きな物とかないの?」
「彼岸花が好き。」
どの花よりも私はなぜか彼岸花が好きだった。
「彼岸花?なぜに特定?」
「だって…」
「じゃあ、部屋いっぱいに彼岸花送ってやるよ。」
「え??」
「焼きそばパンのお礼。安くすむし」
…1言余計なんですけど。
いいと思うたびに印象が下がってゆく。
でも、そんな君の事をもう受け入れられる気がした。
「…ありがとう。」
「俺の事、友達として受け入れてくれる?」
「…知らない。」
素直になれない私に。
今度はただ微笑んでくれた。