線香花火【完結】

バスケにすると親父に話したとき、親父は普段と変わらない顔で「そうか。バスケ頑張れよ」と言ってくれた。

でも本当はどう思っていたんだろう。陸上から逃げたことを親父はどう思ってるんだろうか。

「最近、バスケはどうなんだ」
「まぁまぁ」

「まぁまぁって何だよ。具体的に言えよ」親父はポケットに片手を突っ込んでもう片一方の手は内輪で仰いでいる。

「この前試合出させてもらった」
「えっ、すごいじゃねーか」親父は顔色を変えて嬉しそうに話してくる。

「そうか?」内心、本当はめちゃくちゃ嬉しい。世界に立っていた親父に誉められるのはめちゃくちゃ嬉しい。

< 10 / 28 >

この作品をシェア

pagetop