線香花火【完結】

「だからまた走ってよ」彼女は俺に真剣な眼差しで話してくる。俺は少し考えて日向に答えた。

「多分、走る。バスケしてるときも楽しいんだけどさ、もずもずするんだ。コートが狭いからもっと広かったらいいのにっていつも思ってた」

「ほーら。やっぱりたかは陸上なんだよ。おじさんの子供なんだよ」
「バスケは母さんがしてたぜ?」俺は日向の顔をのぞきこむ。

「うん、そうだけど。たかはおじさんにそっくりだもん。おばさんよりおじさんにそっくり」笑顔で俺の顔を見る日向。

「顔も、身長も、仕草も。陸上してるときの顔も全部そっくりなんだもん」日向の笑う姿が可愛くて見とれてしまう。


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