Tolie.
少し驚いたのか
ビクリと一度上がった
肩はすぐに落ち着いて
私の頭を優しく
撫でてくれた。
「 住所も本名も、学校も全部、リカは俺達に話した。だから、何回逃げても捕まってまた引きずり戻されてた 」
手が後頭部で止まったと
思ったら、グッと力を
入れられて、片手で背中を抱かれた。
苦しくないわけじゃ
ないけど、震える一輝を
押し返すことも
できなくて、私は黙って
一輝の肩に顔を埋めてた。
「 逃げても逃げても追い回されて、逃げる度に殴られて、怪我した身体引きずって逃げたのが、最後だった 」
目を閉じて聞いてたら
“リカ”を見たことは
ない私でも、恐怖と
痛みに耐えて逃げる
彼女が想像できて
思わず顔を歪めた。