Tolie.
予想外の私の一言に
目を丸くした一輝は
眉間にシワを寄せていた。
「 お前は、逃げて、それから
どうしたいんだよ? 」
だから、諦めたんだよ。
行きたいところも、行けるところも
私にはないから。
私がいて当たり前なのは
”ここ”しかないから。
「 言ったよな。諦めるなって 」
再度、俯きかけた私は
顔を上げた。
「 諦めさせねーよ 」
泣きそうで、でも
すごく怒っていて
心配そうで、辛そうで。
彼のその目が、
彼の中の彼女と私を
”並べて”見ているような
気がした。