Tolie.




私がお粥を食べ終えると
龍一はゆっくり立ち上がって
空になった器を持って部屋から
出て行った。




出際に一度振り返った彼が
なんとなく、悲しそうに見えて
思わず目を逸らしてしまった。




”今夜”。




逃げることから逃げて
現実から目を逸らし続けてきた。
いつまで経っても動けないでいた
私に手を差し伸べて、私を引き上げて
動けるようにしてくれた。




”諦めるな”




一輝の言葉が頭に焼きついて
自問自答を繰り返して頭を抱えて、
自分自身についてきた嘘に気づいた。









───────一輝。





聞きたいことが、たくさんある。
このまま逃げて、後悔はしないかな?
聞かないままで、いいのかな?






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