Tolie.
「 リカは最初から最後まで俺を
怖がって、怯えてたから 」
ふっ、と小さく笑ったあと
彼は強く拳を握って、
そのまま自分の脚に振り下ろした。
────ダンッ
「 なに、して・・ 」
振り下ろされた拳は微かに震えていて
私が手を伸ばすと、簡単にはじかれて
”触るな”って目で言われた。
「 カズみたいに、逃がそうなんて
俺は思わなかった。
攫うってそういうことだろ? 」
”違うか?”って私を捕えた目は
もう何かに迷うような目じゃなくて
ゾクリ、と背筋が凍った。