Tolie.
「 一輝・・・ 」
裸足で走っていたからか
足は所々切れていて、
血が滲んでいる。
何処にいっても人がいない。
嫌な夢を見ているような
気分になって、急に心細くなった。
ベンチの上で膝を抱えながら
俯いていると、
「 そんなカッコで何してんの~? 」
ポン、と肩を叩かれて
”一輝”って顔を上げそうになった。
言われるまで気づかなかったけど
龍一に借りたワイシャツの上だけしか
身に着けていない。
「 まだちょっと寒いっしょ~ 」
寝てるふりでもしようかと思って
ぎゅっ、と強く目を瞑った。