Tolie.




ガチャンッ、・・・




明かりの点いていない診療所の
ドアの鍵を開けて中に入ると
それらしい独特の香りがして、
少し顔を歪ませた。




「 少しそこで待っててね 」




待合室の明かりをつけて、
私をイスの上に降ろすと
そう言って彼は廊下を歩いていった。




少し癖のある黒髪とメガネ。
淡い青色のネクタイとワイシャツ。
なんとなく、そうかなって思ってたけど
ここに連れてこられて分からないほど
私は鈍くない。




「 お医者さんだったんですか 」




救急箱を片手に戻ってきた彼に
声をかけると、ニコッと笑って頷いた。






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