Tolie.




「 話は手当ての後にでも 」




そう言うと、私の足に手を伸ばして
慣れた手つきで手当てをしてくれた。




少し大袈裟に包帯なんか巻かれたけど
真剣な彼を見ていたら、いつかの一輝を
思い出して、かき消すように頭を振った。




「 どうしたの? 」


「 ・・・いえ 」




”面白い子だね”って笑われて
首を横に振ると、再度抱き上げられて
診療所を後にした。




それからまた移動して、次は
大きなマンションに着いた。




「 あ、歩けます 」




助手席のドアを開けた彼にそう言うと
手を伸ばした彼が一瞬きょとん、として
すぐに優しく笑って、




「 足が汚れちゃうからね? 」




やっぱり抱き上げられた。






< 184 / 445 >

この作品をシェア

pagetop