Tolie.
エレベーターに乗り込んで
無言のまま視線を落とすと
微かに、彼の鼓動が聞こえた。
私の頭では考えられないほど
信じられないことばかりで
悩んだり迷ったり焦ったり。
忙しく頭を働かせて
足の痛みにも気づかずに
逃げ回っていたのに。
ついさっきまで、怖くて
心細くて仕方なかったのに。
今じゃ、嘘みたいに落ち着いてる。
「 お腹すいてない? 」
「 へ? 」
顔を上げると、いつの間にか私は
彼の部屋にいて、きょろきょろと
見渡していたら
「 聞いてる? 」
目の前にドアップで彼の顔がうつって
”お腹、すいてる?”もう一度聞かれて
戸惑った末に、頷いた。