Tolie.





「 二年前、リカちゃんが投身して、
  しばらくして殻になった一輝が
  診療所に来た 」





電話で色々聞いてはいたんだ。って
付け足されて、固まりそうになったけど
ゆっくり頷いた。





「 ”見てられない”って戸惑った一輝は
  何度も俺に連絡してきて、俺はその度に
 ”隙を見て診療所に連れておいで”って
  言ってたんだけど、その隙を見つける前に
  リカちゃんは何度も逃げて追い回されて
  やっと隙を見つけたときには、それが
 ”最後”だったって 」





追い詰められたリカを一輝は助けようと
色々な手段を考えては挫折して、
それは、本人から聞いていたけど
改めて聞くと、泣きそうになった。





「 アイツらには後悔しか残ってない。
  殻の一輝の肩に酷い傷があったけど
  ”手当ては必要ない”って言って
  痛いはずなのに歯食い縛って、
  色んな痛みと闘ってたよ 」





優斗さんはメガネを外すと、私を見て
ふっ、と小さく笑った。







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