Tolie.
「 精神って傷つきやすいんだよ。
4ヶ月も知らない所で知らない男に
監禁されて暴力振るわれて、挙句
そんな過去を聞かされたら自分を
忘れたっておかしくない 」
”頑張ったね”
そう言って私の頭を撫でる。
優斗さんは医者だから、やっぱり
私は患者に見えるのかな。
私が怪我したときに見る、
一輝と同じ顔をしてる。
「 自分自身、って何ですか? 」
頭に乗っかった優斗さんの腕を
つかむと、あっさりと離れた。
「 自分の中の自分。意思だよ 」
「 意思? 」
「 そう。だから逃げて来たんでしょ? 」
”帰りたいって思ったから”
耳に響いたのは、いつかの一輝の
言葉だった。
”帰りたいって言えよ”
そう言った一輝と同じような顔で
聞いてくるから、思わず口から零れた。