Tolie.
「 いまさら 」
ここまで不器用な奴は
見たことがない。
受話器越しに笑う龍一に
つられて笑うと、美優ちゃんが
微かに動いた。
瞬間、ビクリと俺が固まる。
龍一と電話してるのなんかが
この子に知れたら不安になって
ここから逃げ出すかもしれない。
俺が黙り込むと龍一も黙った。
なんとなく、俺の状況が
分かってるんだと思う。
「 龍一とこの子は正反対だね 」
「 なに? 」
「 共通点があるなら、二人とも
鈍いことぐらいじゃないかな 」