Tolie.
親友を傷つけて、
好きな女を殺した。
そう思ってるから、
そんなことを言うんだろ。
俺の口からは、彼女のことに
関しては何も言えない。
俺はそんなことを言える立場には
いないから。
「 ・・・・優斗 」
「 なに? 」
掠れた龍一の声が俺を呼んで
視線を美優ちゃんに落としながら
返事をした。
「 なんで、欲しいものって
一番遠くて脆いんだろうな 」
噛み殺した辛そうな息が
受話器越しで泣く龍一の姿を
想像させた。