Tolie.
気を失った間に連れられたから
今自分がどんな建物の中に
いるか分からない。
地元にいるかどうかすら
分からなかった。
今更、恐怖なんか感じなくても
いいんじゃないの。
そう、思いながらも
心臓は未だにうるさかった。
──────ピンポーン
不意に、インターホンが鳴って
肩が上がった。
この部屋から玄関まで
どのくらいの距離があるのか
考えたところでわからなくて
返事をするのもなんだか
面倒になった。
視線をもう一度天井に戻して
何度か鳴るインターホンを
全部無視した。