Tolie.
「 優斗、何怒って・・・ 」
バキッ、と鈍い音が響いて
一輝が倒れこんだ。
支えを失った私はその場に
崩れるように座り込んで
強く握られた優斗さんの拳を
見ていた。
「 話すなら家に来いって言ったよな?
何が”美優をよろしく”だよ? 」
「 ・・・優斗 」
「 適当なこと言って美優ちゃんを
不安にして逃げる奴があるか? 」
両手をポケットに突っ込んだ龍一が
倒れこんだ一輝を見下ろして
なんとなく話の流れを掴んだらしく
再度殴りかかろうとする優斗さんを
止めた。
「 ちょっと待って 」
「 んだよ? 」
「 アゲハの名前って美優? 」
冷静さを失った優斗さんを
尚も押さえながら龍一は
横目で私を見て、ドキッ、と
私の心臓が跳ねた。