Tolie.
「 すいません・・ 」
言葉を失った看護婦さんに
頭を下げて 病院を出た。
私の存在を忘れたように
一度も振り返らずに
歩き続けるお母さんを
呼び止めることもできなくて
私は背中を追いかけた。
──────バンッ
「 ・・・お母さ、っ・・ 」
”置いていかないで”
声にできない心の叫びが
のどにつまった。
私になんか見向きもせず
ただ呆然と前を見て
車は家とは反対方向の道へ
消えていった。