Tolie.
攫われて場所も時間も
分からなくなって
まだ4日。
「 ・・・アゲハ 」
この人の、こんな顔を見て
胸が痛むなんて。
「 ごめんな 」
今にも泣きそうな顔をされると
どうしていいか分からなくなって
返す言葉を探しているうちに
───────涙が、頬を伝った。
「 ッ・・・りゅ、いち 」
「 うん? 」
「 なん、で・・・私なの? 」
意識が薄れていく、車の中で
私はそればかりを考えていた。