Tolie.
傷痕
ここに来て、1ヶ月が過ぎた。
完治とまではいかないけど
痣も薄くなって痛みも段々
和らいできたのを確認してから
静かに部屋を出た。
「 ・・・アゲハ? 」
部屋を出てすぐ、玄関のドアが
開いて、ひょっこり顔を出したのは
龍一さん。
「 傷は? 」
家を出ようとしていたのか
今帰ってきたのか分からないけど
開けっ放しのドアから吹き込む
まだ冷たい風が私の体を冷やす。
「 大丈夫。それより寒い 」
「 あ?・・・あー、悪い 」
だぼだぼのスウェットは
膝上まであって、私の体を隠すには
十分だった。
私が”寒い”と膝を擦ると
龍一さんはすぐにドアを閉めた。