ふたりの総長〜恋を知る〜
母さん達が連れて行かれたであろう部屋まで急いだ。
早くここから立ち去りたい。
その一心で足を進めた。


それらしき部屋が近づくと、楽しそうな話し声が中から聞こえてきた。
いつの間に仲良くなったんだろう。
楽しそうな会話を中断させるのは悪いと思ったが、あたしにはここから帰るアシがない。


あたしのバイクは倉庫においてきてしまったし。
母さん達に乗せて帰ってもらうしかない。


あたしはドアを開けた。



いきなりドアが開いたものだから全員がこっちを見た。


「あら、凛夏。どうしたの?」


母さんの問いかけに、


「帰る。」


たった一言だけ返した。



「もう帰るの?・・泣いてるの?」


「な、何でもない。早く帰りたいの。」


あたしは腕で涙を拭った。



「・・・そぅ。」


あたしの答えに納得してないようだったが、追及はしてこなかった。


「じゃ、この辺で失礼するよ。」


そう言って父さんが立ち上がった。
それに続いて母さんも立ち上がる。



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