ふたりの総長〜恋を知る〜
「撮るよー。はい、チーズ」



笑顔で寄り添うさくらさんと要さんに対して、石山君は不機嫌な表情のまま。
そんなに写真嫌いなのかな?


「ありがとう。次、凜夏ちゃんといぶきね」


「そうね。ほら、凜夏。いぶき君の隣に立って」


勝手に話を進めるさくらさんとお母さん。
お母さんに至っては、あたしの体を押している。


「い、いいよ!写真なんて……」


石山君写真嫌いそうだし。
それにみんなの前で、2人で写真撮るとか恥ずかしい。
あたしはお母さんの手を押し返しながら言った。


「えっ……」


急に手が首もとに伸びてきたかと思うと、後ろに引っ張られ何かに当たった。
その瞬間香る、香水。
これは石山君の香水……?



「大人しくしてろ」



耳元で囁かれた声に、あたしの顔は熱を帯びる。


「撮るわよー」



「えっ、ちょっ、まっ……」



カシャーー



あたしの抵抗虚しく、シャッターがきられた。





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