ふたりの総長〜恋を知る〜
「金だと?」



「そう、金。こいつが薬中毒だったのは知ってるよな?」



「あぁ。」



確かに初めて会った時、剛士は中毒だった。
薬の味を忘れさすために、蝶華の溜まり場に連れて行ったんだ。
蝶華のメンバー全員で監視をし、剛士が薬に手を出そうとしたら柱に縛りつけたりして止めた。



そしてやっと正気に戻った剛士を正式に蝶華に迎えたんだ。



「こいつは初めはちゃんと金を払って薬を買っていったよ。だがそのうち金が無くなって薬を盗んだんだ。

こいつのこと、必死に探したよ。薬を盗まれるなんてことあってはいけないからなぁ。どうせ他の奴から薬を手に入れているに違いないと思った俺たちは、知っている薬売りに聞いて回ったよ。けど・・・」



男の目つきが鋭くなった。



「全員が見たことないって言うんだ。そんなはずはねぇ、って思ったさ。でもそれから数か月たったある日見てしまったんだ。こいつが蝶華の溜まり場に入って行く姿を。

薬中毒だったはずのこいつはなぜか正気に戻っていて他の奴と楽しそうに笑っている。その時さ、計画が思いついたのは。

金を返して貰うついでに蝶華も潰してしまおうってな。最近知名度が上がってきた蝶華を潰せば、俺たちの知名度があがる。強さが知れ渡る。

そうなったら薬を盗もうってバカはいなくなるだろ。」



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