憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「…醜い…」

開口一番に、思わず呟いた。
今日は午後からの講義しかとっていないので、10時過ぎにのそのそとベッドから這い出して洗面所に向かう。げんなりと、鏡に向かい合った。
そこに映るのは、乾かさないで寝てしまった代償の爆発した頭。泣きすぎて腫れぼったい瞼。思わず写メしたいくらいの面白フェイスに溜息しかでない。
なんというか、もう戻らないんじゃないかと本気で思ってしまう位の酷さ。

仕方なく、適当に髪を巻いてごまかし、いつものメイクをした後に、イマドキ芸能人だってかけないようなサングラスで目元を隠した。

視界がせまい。恋のフィルターが壊れてしまえば、この眼が映す世界の色はどうしてこんなに褪せて見えるのだろう。
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