憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「ほら、田口だよ。田口彰!あのBランクね」

「あいつも身の程を知れって感じだよね。あんなブサ面で純子と付き合えるとでも思ってるのかな。めちゃくちゃウケるよね」


いやいや、何もウケないでしょう。
全然面白くないよ。だって、アキラは誰が見ても本気で告白していたじゃないの。

……それを。
美香と多恵のあまりにも酷い物言いに、段々と苛立ちが大きくなってくる。恋バナなんて可愛らしいものじゃない。

「ねえ、真知」

今の今まで、黙って中を覗いていた尚が、不意にあたしを振り返った。

「ブサ面って何?」

「……不細工な顔ってこと」

「へえ。初めて知った。そんな言葉があるんだ」

小首を傾げて、暢気にそんなことを問うのに、思わずズッコケそうになってしまう。
関心処はそこですか。
< 116 / 533 >

この作品をシェア

pagetop