憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「ほら、田口だよ。田口彰!あのBランクね」
「あいつも身の程を知れって感じだよね。あんなブサ面で純子と付き合えるとでも思ってるのかな。めちゃくちゃウケるよね」
いやいや、何もウケないでしょう。
全然面白くないよ。だって、アキラは誰が見ても本気で告白していたじゃないの。
……それを。
美香と多恵のあまりにも酷い物言いに、段々と苛立ちが大きくなってくる。恋バナなんて可愛らしいものじゃない。
「ねえ、真知」
今の今まで、黙って中を覗いていた尚が、不意にあたしを振り返った。
「ブサ面って何?」
「……不細工な顔ってこと」
「へえ。初めて知った。そんな言葉があるんだ」
小首を傾げて、暢気にそんなことを問うのに、思わずズッコケそうになってしまう。
関心処はそこですか。