憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
大体、純子も純子だよ。
友達なら、彼女達を窘めるなりなんなりすればいいのに。
「サッカー部のキャプテンやってるっていってもね。更夜先輩や尚君レベルならまだしもさ」
くすくすと笑う美香多恵コンビに、唖然としてしまう。
酷すぎる。告白した後にこんな風に笑われるなんて。
「でも、もう少しだね。純子」
口元に笑みを浮かべながら、美香は純子にそう言った。
それまで黙ってふたりの会話を俯きがちに聞くだけだった純子は、ゆっくりと顔をあげる。
「……っ!」
思わず息を呑む。
純子の顔には、淡い笑みが浮かぶ。
それは、いつもあたし達に見せるのとおんなじ顔。
―あの千秋が好きになった笑顔だ。
「計画通りじゃん」
……計画?
なんだか、その言葉に酷く不安な気持ちが込み上げる。
彼女達の会話を聞くのが、怖い。