憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「そう?ならいいけど」
尚は、一瞬目を細めたあとに、また何事もなかったかのように純子達から背を向けた。
「あ、ねえ」
「何?」
声をかけたのは、純子。
「よかったら、この後一緒にご飯でも食べにいかない?ふたりで」
「……なんで?」
尚の思わぬ返答に、純子は大きく目を見開いて、「え、」と小さく声を漏らした。
フツウの男だったら、ふたつ返事でイエスと返ってくるのだろうけど、残念ながら相手は一癖も二癖もある男だ。
「えっと、ほら、あたしたち!同じQSなのにあんまり交流ないじゃない?よかったらあたしの家で料理でも作るけど……」
「ごめんね」
話の途中で、何の躊躇いもなくすっぱりと流れを断ち切る。