憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「ほら、また。そういう単純で馬鹿正直なところ」

「あんたみたいに捻くれてるよりいいと思うけど」

精一杯の嫌味を言ったつもりだった。
けれど、少しの沈黙のあと、尚はゆっくりと視線だけをこちらに向けた。

「そうだね。あまりにも馬鹿正直すぎて、こっちが馬鹿らしくなる」

「なによそれ」

「……ごめん、怖がらせた」


尚は、やっぱり何も言ってくれない。短くそれだけを言って、ぎゅうとシーツを握りしめた。

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