憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
まじまじと尚を見れば、「何」と尚が小さく眉を寄せた。
そのまま、手を引かれてゲストルームを素通りする。
連れて行かれたのは、おそらく尚の自室だろう。
沢山の書物、パソコンがなぜか3台、よく分からない機器類となんだか随分とモノが多い。
暫らく帰っていなかったということもあって、どこか埃っぽい部屋は大きく窓が開け放たれていた。
漆黒の空に大粒の星がきらきらと輝くのが見える。
「そこ、適当に座って」
「……う、うん……」
ベッドに腰掛けると、尚がとなりに座った。
免疫のないあたしには、そんな些細なことでどきどきと心臓が煩い。だって、意地悪で嫌味なヤツだけど、悔しいことに彼はやっぱり綺麗なのだ。
そんな男の子に手首を摩られて、思わずビクリと体が揺れた。
「……何びびってんの」
「び、びびってないし!」
顔、絶対真っ赤だ。
そんなあたしに気づいた尚は、やれやれと肩を竦めた。
「変な妄想しないでよね」
「……っ!!!」