憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
声の出ないあたしに、尚はくつくつと笑いながらあたしの腕にぺシっと乱暴に何かを貼った。
「つめたっ!」
「湿布。冷やしたほうがいいだろ」
「あ、……ありがと」
驚いて、思わずお礼を言えば尚は呆れたような顔をする。
「真知が礼を言うのはおかしいと思うけど」
「……え?なんで、」
「とんだお人好し」
「ああ、またそういうこと言うんだ」
ムッとして頬を膨らませれば、「警告だよ」とまるで独り言のように尚は言う。ゆっくりと立ち上がってパソコンデスクへとむかう。
椅子をひとつ隣りに寄せて、尚があたしを手招きする。