憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
その画面を見た瞬間、あたしは思わず両手で口元を覆っていた。
信じられなくて、小さく首を横に振る。
「……嘘」
「そう。"嘘"だよ。彼女が口にしていたこと全部」
画面の光が、涙でじわりと滲んだ。
そこに映し出されていたのは、複雑な記号の合間に浮かぶ文章。いわゆるSNSでされた会話のようだった。ずらずらと並んだ会話を目にした瞬間、心臓が凍り付いた。
そう、あの研究室で純子達3人が繰り広げていた会話そのもの。
相手の行動パターンを推測して、分析、言葉の選択、そんなくだらない事柄で盛り上がる会話がずらずらと続いていた。
「どうしたい?」
「どうって……」
漆黒の瞳に、受け止めきれずに戸惑う自分が揺れる。