憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「いい加減起きろ、のび太が」

「ふぎゃっ!……寒いっ」

容赦なく包まっていたブランケットを剥がれ、身体を丸めながら瞼を開ける。

「あれ、尚?なんでここに」

「いつまで寝ぼけているつもり?ここ、俺んちなんだけど」

「あ!そ、そうだったっけ」

「もう昼過ぎだよ」

その言葉を聞いた瞬間、飛び起きる。
サーっと顔から血の気が引く。固まったままのあたしを、尚が不思議そうな顔で見ていた。

「どうしたの、真知。アホ面三割増」

「た、たた……田丸の授業!!間に合わない!!」

「ああ、そんなこと」

「そんなこと!?全然、そんなことじゃない!あたしにとっては、今後の運命を左右することで……!」
< 163 / 533 >

この作品をシェア

pagetop