憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「いい加減起きろ、のび太が」
「ふぎゃっ!……寒いっ」
容赦なく包まっていたブランケットを剥がれ、身体を丸めながら瞼を開ける。
「あれ、尚?なんでここに」
「いつまで寝ぼけているつもり?ここ、俺んちなんだけど」
「あ!そ、そうだったっけ」
「もう昼過ぎだよ」
その言葉を聞いた瞬間、飛び起きる。
サーっと顔から血の気が引く。固まったままのあたしを、尚が不思議そうな顔で見ていた。
「どうしたの、真知。アホ面三割増」
「た、たた……田丸の授業!!間に合わない!!」
「ああ、そんなこと」
「そんなこと!?全然、そんなことじゃない!あたしにとっては、今後の運命を左右することで……!」