憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「着いたよ」

「……(げっそり)」

「真知、少しリアクションがオーバーじゃない?」

「どこがよ!」

よろつきながら、バイクから降りる。

尚はと言えば飄々とした様子でヘルメットを頭から外している(そして、その様子を見ていた女達がキャアキャアと色めきだってうざい)

案の定、田丸の授業には間に合わず肩を落とした。
授業を終えて移動を始める学生や、帰宅する学生で外は賑わっていた。

「真知はこの後どうするの?」

「……あたしは4限ないし、仕方ないからQSのホームに行くよ」

「どうせまた、仕事溜めてるんでしょ」

「うっさいなぁ」

「じゃあ、またね」


尚は一晩中あたしを振り回したくせして、何を気にする素振りもなく華麗に去って行った(王子は今日も健在だ)

―千秋は、四限来てるのかな……。

とぼとぼと歩きながら思う。
昨日の純子達の姿がふと脳裏を過ぎり、頭を横に振った。

それでも過ぎさらないので、ちょっと地団駄踏んでみたりした(数人に異様な眼差しで見られたが気にしない!)
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