憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

ドタドタと足早に、逃げるようにホームから離れる。
せっかく来たのだからと、時間を潰そうと思っていたのにあの不法侵入者のせいで台無しだ。

「Aランチ!ライス大盛り!!」

行き場所を無くしたあたしは、結局食堂へと来てしまった。
エベレストのように高々と盛られたライスに気を良くしながら、日の当たる窓際の席へと腰をかけた。

「真知」

「むごっ……」

かきこんでいたご飯が喉に詰まって、むせる。
目の前の椅子が引かれて、そこには同じAランチを持った(ライスは並、なんてこと!)、QSの委員長が座った。

「相席してもいいか?」

落ち着いた声音が心地良い。
思わずコクコクと頷いた。


しまったな、こんなことならライス少なめにしておけばよかった。あたしの、毎日の目の保養である北沢更夜先輩にこっそりと思う。

この大学には、ファンクラブなんてものもある位だ。こんなふうに一緒に食事をしているところを見られたりしたら、あたしは明日の朝日を拝むことは出来ないだろう。

「こ、コウヤ先輩…」

「どうした?」

思い立って先輩の名前を呼べば、不思議そうな顔でこちらを見る。
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