憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「あれ……、よく見たら。真知、きのうと同じ服?」

「え!?」

純子は、にんまりと笑みを浮かべて、どこか好奇心に満ちた顔であたしを見つめる。

「もしかしてえ、尚君とお泊りデートでしょうか?」

「……ち、違う違う!」

茶目っ気たっぷりに言う純子に、慌てて否定を繰り返す。

「そんなに全力で否定しなくても。余計怪しいわよ~」

「だだ、だってさ」

どもるあたしにくすくす笑いながら、口元に手をやり、小さく首を傾げた。

「ねえ」
< 172 / 533 >

この作品をシェア

pagetop