憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

饒舌に良く喋る。
威圧感に押されて、あたしがどうにも出来ないでいることを理解してる。

尚も、純子も。
ちょっとした動作で、人の感情を読むのが本当に巧い。あたしの、千秋の、一挙一動なんて全部お見通しなのだ。
緊張で声が震えることも、焦りから言葉が上手く出てこないことも、相手を好きだということも、全部、全部。

「真知、私の話聞いてる?千秋君……誰か好きな人いるのかな?真知なら知っているでしょう」

声に追い詰められる。
もう、逃げられない。

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