憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「真知、もしかしてずるいこと考えてない?真知には尚君がいるくせに。幼馴染と尚君、両方独り占めにしなきゃ気が済まないとか?」
「違う!そういう訳じゃ」
「じゃあ、どういう訳なのよ」
「あたし、あたしは……」
どうすればいい、何を言えばいいの。
守りたいのに、どうしたらいいのかわからない。
頭の中が、グチャグチャだ。
もしここで断ったら、あたしこの先どうなるんだろう。
確実に純子信者に闇に乗じて抹殺されるに違いない。更夜先輩や紗雪先輩も純子には一目置いてるから、あたしの言うことなんて信じてもらえそうにないし。
そんな想像が、あまりにも簡単に出来る。
怖い、……逃げ出したい……、けれど、どうして。あたしをここにとどまらせるこの感情は。