憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「……やっぱり、無理」

「え?」

純子は、信じられないという顔であたしを見た。
ぎゅっと拳を握る。あんなに怖かったはずなのに、いつの間にか身体の震えは消えていた。

千秋は純子が好き。そして、理由はともかく、純子も千秋と付き合いたいという。恋愛はじょうずに成り立っている。

なら、あたしは。
よろこんで悪役にでもなんでも、なってやろうじゃないの。
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