憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
なんか、遠巻きに馬鹿にされてるんですけど。ムカつく。
そっと彼女達の後ろに視線をやり、ぎくりとした。
そこには、頬杖をついた尚が絶対零度の瞳でこちらを睨んでいた。
(うわあ、そういやこの授業一緒だったっけ)
「真知」
「きゃああ、尚君!おはよう!!」
さっきまで地の底にめり込むくらい落ち込んでいた女子達が、あっという間に元気を取り戻してきゃあきゃあと煩い。
尚は爽やかな笑顔でそれを交わしながらあたしの手を取って、授業真面目に受ける気ないだろうというのが丸分かりの最後列の席へと引っ張って行った。